2026年、ついに16年ぶりのフルモデルチェンジを果たした「4代目 日産 新型エルグランド(E53型)」。
元・日産ディーラー整備士として長年数多くのミニバンを見てきた私の結論から言うと、この1.5L化は決して「コストダウン」や「妥協」ではありません。
アルファードの牙城を崩すための、日産の「超・戦略的アプローチ」なのです。
本記事では、新型エルグランドがなぜあえて「1.5L直3エンジン」を採用したのか、その裏にある驚愕のスペックと、ライバルであるアルファード(2.5L)と比較した際の維持費の圧倒的メリットについて、プロの整備士目線で徹底検証します。
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新型エルグランドが「1.5Lエンジン」を採用した本当の理由

e-POWER専用・固定圧縮比「ZR15DDTe」の正体
新型エルグランドに搭載されている1.5Lエンジン(型式:ZR15DDTe)は、タイヤを回すためのものではありません。100%「発電専用」のエンジンです。
従来のe-POWER用エンジン(VCターボ)とは異なり、このエンジンは「STARCコンセプト」という新技術を用いた固定圧縮比13:1の高効率ターボエンジンへと進化しています。
エンジンは走行に直接関与せず、「効率の良い回転数でひたすら電気を作る」ことに専念するため、排気量の小ささがパワー不足に直結することはありません。(出典:日産自動車グローバルニュースルーム)
実はアルファード超え?340馬力と「e-4ORCE」の破壊力
「じゃあ実際のパワーはどうなの?」という疑問に対する答えが、日産のフラッグシップEV「アリア」譲りのシステム出力です。
新型エルグランドのシステム最高出力は約340馬力(約250kW)前後、最大トルクは約54kgf-m(530Nm)前後と推計されています。
これは、自然吸気エンジン換算でなんと「4.5Lクラス」に相当する力強いトルクです。さらに全グレードに日産が誇る電動4WDシステム「e-4ORCE」が標準搭載されています。
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【維持費比較】1.5L化で自動車税・燃費はどう変わる?

1.5Lエンジンを採用した最大の恩恵は、日本の税制において「圧倒的な維持費の安さ」を享受できる点にあります。
アルファード(2.5L)との税金・維持費シミュレーション
日本の自動車税(種別割)は、モーター駆動のe-POWERであっても「搭載されているエンジンの排気量」で計算されます。ライバルであるアルファード(HEV)と比較してみましょう。
このように、エルグランドはアルファードに比べて年間で10,500円も自動車税が安くなります。(出典:栃木県 自動車税種別割税率表)
10年乗れば、それだけで10万円以上の節約になります。
現場の裏話:先代E52オーナーが泣いた燃費問題
新型(E53)のWLTCモード燃費は16.8km/L。さらに第3世代e-POWERは、過去の「高速走行に弱い」という弱点を克服し、欧州のテストでは実燃費で大幅な向上を記録しています。
先代の「燃費が悪くて税金が高い」という最大の弱点を、この1.5Lのシステムが払拭したと言えます。
さらに元整備士の視点から付け加えると、「メンテナンスコスト(工賃)の大幅な削減」も見逃せません。先代のV6 3.5Lエンジン(VQ35)は横置きでエンジンルームに隙間がなく、スパークプラグを交換するだけでもインテークマニホールドを外す大掛かりな作業になり、数万円規模の高額な工賃が発生していました。
対して新型的直列3気筒1.5Lであればエンジンルームに余裕が生まれ、整備性が劇的に向上するため、車検時などの基本整備費用も長期的に抑えられる可能性が高いです。
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ネットの声「直3エンジンはうるさい?」に対するプロの回答
パワーや税金面でメリットだらけに見える新型エルグランドですが、X(旧Twitter)では以下のようなリアルな懸念・疑問の声が数多く投稿されています。
【X(Twitter)の投稿を表示しています】
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しかし、日産はこの問題を力技で封じ込めています。
3層の「静粛化対策」とe-POWERの賢い制御
新型エルグランドには、3気筒の振動と騒音を打ち消すための「3層の徹底対策」が施されています。
- 5-in-1ユニットによる剛性アップとANC(ノイズキャンセリング)
- 超高遮音ガラスの採用
ユニットの一体化で物理的な振動の伝達を根本から遮断しつつ、車内に侵入する音にはスピーカーから逆位相の音を出して打ち消すノイズキャンセリング(ANC)を働かせています。
プロのモータージャーナリストの試乗でも、「強い加速をした瞬間だけ僅かにエンジン音が聞こえるが、普段の市街地や巡航ではミニバントップクラスの静粛性」と高く評価されています。
1.5L化の恩恵?床面低下による「3列目の居住性」の進化
さらに、1.5Lエンジンとe-POWERユニットをコンパクトにまとめたことで、先代E52最大の弱点であった「床の高さ」と「3列目の狭さ」が劇的に改善されています。
アルファードに対抗しうる広大な室内空間と、フラットな荷室を実現できたのは、このパワートレインの小型化の恩恵に他なりません。
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結局、新型エルグランドは買いなのか?価格とリセールから考察
気になる価格帯と「リセールバリュー」の現実
購入を検討する上で避けて通れないのが価格です。
新型エルグランドの価格帯は、エントリーグレードの「X e-4ORCE」で689万7,000円から設定されています。(出典:ベストカーWeb)
ライバルのアルファード(HEV Z E-Four)が657万円であることを考えると、一見「割高」に感じるかもしれません。
また、リセールバリュー(数年後の売却価格)に関しても、アルファードは「5年落ちでも残価率90%超え」という異常なプレミア市場が形成されています。
対してエルグランドは16年ぶりのモデルチェンジということもあり、将来のリセール市場での相場はまだ未知数という見方が強いです。
走りのエルグランド vs 豪華さのアルファード
では、エルグランドを選ぶメリットはどこにあるのでしょうか。
それは圧倒的な「ドライバーズカーとしての走りの質感」と「最先端の運転支援(ProPILOT 2.0)」です。
アルファードが「2列目に乗る人(VIP)のための豪華な移動空間」であるとすれば、エルグランドは「自らハンドルを握るお父さんが、長距離でも疲労感なく、家族を安全・快適に目的地へ運べる最強のGTミニバン」だと言えます。
専門家視点で考える「満足度の高い」グレードの選び方
購入後の満足度を重視するのであれば、主力の「G e-4ORCE(757万9,000円)」が最もバランスが取れているという見方が強いです。内装の質感(紫檀などのカラー選択)が跳ね上がり、高級ミニバンとしての所有欲を十分に満たしてくれます。
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新型エルグランド 1.5Lモデルのよくある質問(FAQ)
- 1.5Lエンジンで高速道路の合流や登坂はキツくないですか?
まったく問題ありません。エンジンはあくまで「発電機」として動き、実際のタイヤの駆動は前後の強力なモーター(システム出力約340馬力)が行います。自然吸気4.5Lクラスと同等の加速力を誇るため、高速道路でも圧倒的な余裕があります。
- バッテリーが切れたらただの非力な1.5L車になってしまいませんか?
e-POWERの制御システムは非常に賢く設計されています。強い加速が予想される場面やバッテリー残量が低下した際には、エンジンが瞬時に高回転で回り大電力をモーターへ直接供給するため、「電欠」でパワーダウンを感じるシーンは事実上ありません。
- アルファードと比べて乗り心地はどうですか?
エルグランドの武器は「e-4ORCE」によるピッチング(前後の揺れ)制御です。加速時やブレーキ時の不快な揺れ戻しをモーターの緻密な制御で打ち消すため、「同乗者が酔いにくい」という点ではアルファード以上のフラットな乗り心地を実現しています。


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